水の量は勘ではなく掛け算で出せます。 体重と行動時間から土台を出し、季節で補正して500ml単位に切り上げる。水は1Lで1kgあり、1本増やすか減らすかは、そのまま背中の1kgです。
1日に失う水は、体重1kgあたり1時間で5ml、という置き方です。掛け算にしているのは、「1日2L」のような固定値では45kgの人と85kgの人が同じ量になり、3時間の里山と10時間の縦走も同じ量になるからです。体重を入れない場合は60kgとして計算され、行動時間は1〜14時間の範囲で指定します。
最後の丸めは四捨五入ではなく常に切り上げです。丸めで足りなくなる方向には決して動きません。季節をかけたあとの差が500mlに満たないと、季節を変えても切り上げで同じ値になることがあります。
標高が上がるほど山の季節は前にずれるので、倍率の判定は標高帯ごとに違う月割りで行われます。使われるのは出発日の月ひとつです。
| 標高帯 | 春(1.0倍) | 夏(1.2倍) | 秋(1.0倍) | 冬(0.8倍) |
|---|---|---|---|---|
| 1000m未満 | 3〜5月 | 6〜8月 | 9〜11月 | 12〜2月 |
| 1000〜1500m級 | 3〜5月 | 6〜8月 | 9〜11月 | 12〜2月 |
| 1500〜2500m級 | 5〜6月 | 7〜8月 | 9〜10月 | 11〜4月 |
| 2500m以上級 | 6月 | 7〜8月 | 9〜10月 | 11〜5月 |
下の2行が効きます。1,500m以上の山では夏は7〜8月の2か月だけで、冬は11月から、2,500m以上なら5月まで続きます。6月の北アルプスは春であって夏ではないので、補正は1.2倍ではなく1.0倍になります。
出てくる数字は、2泊3日でも3泊4日でも1日ぶんで、日数を掛けません。図の1日ぶん2,000mlは、体重60kg・行動6時間・秋の値です。
泊まり方で変わるのはテント泊だけで、1日ぶんに1,000mlを上乗せします。体重60kg・行動6時間・10月・2,000m級なら、小屋泊は2,000ml、テント泊は3,000mlです。テント泊の上限15.0kgのうち、3kgが水ということになります。
体重と行動時間、季節の組み合わせで、1日ぶんの量です。テント泊なら、この値に1,000mlを足してください。
| 体重 | 行動時間 | 夏 | 春・秋 | 冬 |
|---|---|---|---|---|
| 50kg | 4時間 | 1,500 | 1,000 | 1,000 |
| 50kg | 6時間 | 2,000 | 1,500 | 1,500 |
| 50kg | 8時間 | 2,500 | 2,000 | 2,000 |
| 50kg | 10時間 | 3,000 | 2,500 | 2,000 |
| 60kg | 4時間 | 1,500 | 1,500 | 1,000 |
| 60kg | 6時間 | 2,500 | 2,000 | 1,500 |
| 60kg | 8時間 | 3,000 | 2,500 | 2,000 |
| 60kg | 10時間 | 4,000 | 3,000 | 2,500 |
| 70kg | 4時間 | 2,000 | 1,500 | 1,500 |
| 70kg | 6時間 | 3,000 | 2,500 | 2,000 |
| 70kg | 8時間 | 3,500 | 3,000 | 2,500 |
| 70kg | 10時間 | 4,500 | 3,500 | 3,000 |
| 80kg | 4時間 | 2,000 | 2,000 | 1,500 |
| 80kg | 6時間 | 3,000 | 2,500 | 2,000 |
| 80kg | 8時間 | 4,000 | 3,500 | 3,000 |
| 80kg | 10時間 | 5,000 | 4,000 | 3,500 |
横に見ると夏と冬の差はおおむね500〜1,500ml、縦に見ると行動時間が4時間から8時間に倍になれば量もほぼ倍です。体重と行動時間は掛け算なので同じだけ効きますが、出発してから変えられるのは行動時間のほうだけです。同じ山でも行程を短く切れば、背負う水はおおむねその比で軽くなります。
秋から冬に変わる時期の高い山では、小屋が閉じるとエスケープ先ごと無くなります。水場が使えるかどうかは、出発の1〜2日前に現地の小屋や自治体、登山記録で確かめてください。
低山の夏は、表の中では1.2倍がかかった値です。それでも早朝に登り始め、暑い時間帯に行動を終える計画にするほうが確実です。
水だけを大量に飲むと低ナトリウム血症になります。汗をかいたら塩分タブレットや経口補水も口に入れてください。ボトルは1本にまとめず分けて持つと、落としたときに全滅しません。
テント泊で水場から汲むなら、浄水器と水を運ぶ袋も要ります。