同じ山でも、時期が違えば必要な装備が変わります。 里が半袖で過ごせる陽気でも、標高2,000mの稜線は真冬並みということが普通に起きます。 装備を「山ごと」ではなく「標高と時期の組み合わせごと」に考え直すと、過不足がかなり減ります。
里で20℃と聞くと薄着で出かけたくなりますが、これは風のない状態での話です。
稜線に出ると、風を遮るものがなくなります。 汗で濡れた服のまま風に当たるのは、夏でも危険な状況になり得ます。
気温が5℃なら、風速10m/sで体感は約−5℃まで落ちます。
| 気温 | 無風 | 風速5m/s | 風速10m/s |
|---|---|---|---|
| 15℃ | 15℃ | 約10℃ | 約5℃ |
| 11℃ | 11℃ | 約6℃ | 約1℃ |
| 5℃ | 5℃ | 約0℃ | 約−5℃ |
綿は避けてください。乾きが遅く、濡れたまま張り付いて体温を奪い続けます。 夏の低山でも、この一点だけは守る価値があります。
同じ「6月」でも、標高1,500m以上では残雪が残っていることがあります。 逆に「10月」は、里が快適でも1,500m以上では初冠雪の時期にあたります。
危ないのは、直前の経験がそのまま通用すると思い込むことです。 9月に登った同じ山へ10月に行くと、必要な装備が一段階変わっていることがあります。 標高が高いほど、この切り替わりは早く訪れます。
| 標高帯 | 雪・凍結の備えが要る時期 | 装備の目安 |
|---|---|---|
| 〜1,000m | 12月〜2月 | 防寒着。念のため滑り止めを入れておく |
| 1,000〜1,500m | 11月〜4月 | 厚手の防寒着とチェーンスパイク 12〜3月は必携。11月と4月は念のため |
| 1,500〜2,500m | 10月〜6月 | 12〜3月は冬山装備一式 4・5・11月はアイゼンとピッケル。6月は残雪でチェーンスパイク必携、10月は初冠雪に備える |
| 2,500m〜 | 10月〜6月 | 11〜3月は冬山装備一式 4〜6月はアイゼンとピッケル。10月は初冠雪でチェーンスパイク必携。雪の備えがいらないのは7〜9月 |
装備が変動する一方で、時期に関係なく外せないものがあります。日帰りの低山でも同じです。
安全についての注意。 この記事の数値はいずれも概算です。実際の気象は地形や当日の条件で大きく変わります。 計画は必ず最新の予報と現地情報にもとづいて立て、登山届を提出し、余裕のある行程を組んでください。 迷ったときは引き返す判断が最も有効な装備です。