置き場所を変えると、手間と待ち時間が別々の倍率で動きます。 冷蔵庫に移すと世話は3.5分の1になりますが、漬かるのを待つ時間は2倍にしかなりません。 ここではぬか漬け管理アプリ「ぬか床日記」が使っている倍率をもとに整理します。
置き場所を温度で言えば、冷暗所は「暖房のない冬の室内」、冷蔵庫は「その5℃下」くらいです。
基準になる間隔は種類ごとに違い、ぬか床・塩麹・醤油麹・キムチ・ザワークラウトは24時間、 甘酒は8時間、ヨーグルトは72時間、味噌は45日に一度の天地返しです。 場所の倍率は、そのどれにも同じようにかかります。
ぬか床の基準は24時間です。ここに場所の倍率と季節の倍率を掛けて、次のかき混ぜまでの間隔が決まります。 季節の倍率は真夏0.55、初夏・初秋0.8、春・秋1.0、冬1.4で、暑いほど間隔が短くなります。
| 季節 | 季節の倍率 | 常温 | 冷暗所 | 冷蔵庫 |
|---|---|---|---|---|
| 真夏(7・8月) | 0.55 | 13.2時間 | 21.1時間 | 84時間 |
| 初夏・初秋(6・9月) | 0.8 | 19.2時間 | 30.7時間 | 84時間 |
| 春・秋(4・5・10・11月) | 1.0 | 24時間 | 38.4時間 | 84時間 |
| 冬(12〜3月) | 1.4 | 33.6時間 | 53.8時間 | 84時間 |
| 週あたりの回数 | — | 5.0〜12.7回 | 3.1〜8.0回 | 2回 |
ただし推奨と締切は別です。真夏の常温は13.2時間おきが推奨ですが、24時間を超えるまでは遅れ扱いになりません。 夏に一日一回しか混ぜられなくても、それ自体は失敗ではないということです。
漬け時間に掛かる季節の倍率は、世話の間隔用とは別の値です。 真夏0.7・初夏初秋0.85・春秋1.0・冬1.3で、世話の間隔の0.55〜1.4より幅が狭くなっています。 きゅうりの基準は食べ頃8時間・漬かりすぎ20時間です。
| 置き場所 | 倍率 | 春・秋 | 真夏 | 冬 |
|---|---|---|---|---|
| 常温 | 1.0 | 8〜20時間 | 5.6〜14時間 | 10.4〜26時間 |
| 冷暗所 | 1.4 | 11.2〜28時間 | 7.8〜19.6時間 | 14.6〜36.4時間 |
| 冷蔵庫 | 2.0 | 16〜40時間 | 16〜40時間 | 16〜40時間 |
見落としやすいのは、食べ頃と漬かりすぎの両方に同じ倍率がかかることです。 常温の春・秋なら取り出せる幅は12時間ですが、冷蔵庫では24時間に広がります。 低温は「漬かるのが遅い」だけでなく「取り出しそびれにくい」場所でもあります。
冷蔵庫を選ぶと、世話の間隔も漬け時間も季節の補正を受けなくなります。 天気予報が取れているときでも同じで、外が38℃でも3℃でも、冷蔵庫の間隔は84時間から動きません。 庫内は年中ほぼ一定だからです。
常温の間隔は年間で13.2時間から33.6時間まで2.5倍に振れ、きゅうりの食べ頃も5.6時間から10.4時間まで動きます。 冷蔵庫なら、去年の夏に覚えた「きゅうりは16時間」が今年の冬にも通ります。
春・秋に常温から冷蔵庫へ移すと、かき混ぜの回数は約7割減り、待つ時間は2倍になります。 減る手間のほうが大きい交換です。 冷蔵庫の側は季節補正を受けないので常温側の倍率だけが動き、真夏なら回数は約8割減って待ち時間は約2.9倍、冬なら約6割減って約1.5倍です。
留守にするときも冷蔵庫が受け皿になります。3日までなら野菜を取り出し、表面をならして薄く塩をふり冷蔵庫へ。 1週間なら水分を抜いて硬めにし、表面が見えなくなるくらい塩をふってラップを密着させ、 2週間以上なら冷凍用袋に平らに入れ、空気を抜いて冷凍します。
場所を変えると、覚えた漬け加減が使えなくなります。 記録を「常温・春・秋なら何時間か」に換算して残しておけば解決します。 冷蔵庫で16時間ちょうどだったなら、倍率2.0で割って8時間と書いておけば、常温に戻したときもその数字が生きます。
| 置き場所 | 世話の倍率 | 漬けの倍率 | 季節・天気 | 向く場面 |
|---|---|---|---|---|
| 常温 | 1.0(週5.0〜12.7回) | 1.0 | 反映する | 味を育てたいとき。香りが弱い・味がぼやけるときの立て直し |
| 冷暗所 | 1.6(週3.1〜8.0回) | 1.4 | 反映する | 毎日は難しいが、常温に近い進み方を残したいとき |
| 冷蔵庫 | 3.5(週2回) | 2.0 | 反映しない | 夏場、留守、進みすぎの手当て。数字を一年固定したいとき |
「反映する」は季節の補正を受ける種類の場合です。 世話の間隔が季節の補正を受けるのはぬか床・塩麹・醤油麹・キムチ・ザワークラウト・甘酒で、 味噌・ヨーグルト・コンブチャ・梅干し・その他の発酵食品は受けません。 迷ったら、いま困っているのが「味」なのか「時間」なのかで決めるのが早い判断になります。