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作りおきと料理の冷凍

最終更新 2026年8月29日

週末に多めに作ったカレーを冷凍したら、じゃがいもだけがスカスカになっていた。揚げ物を凍らせたら衣がべちゃっとした。同じ「冷凍する」という一手なのに、うまくいく料理といかない料理があります。惣菜・作りおき26品目とデザート・お菓子8品目、あわせて34品目分の処方を並べて突き合わせてみると、分かれ目は料理の種類ではなく、中に何が入っているかいつ包むかの二つにほぼ収束すると分かりました。この記事は、その二つを判断の基準として整理し、最後に台所で引ける早見表にしたものです。

1. うまくいかない原因は、料理ではなく具材の側にある
2. じゃがいもの扱いは5通りに分かれる
3. 熱いうちに包むと、何が起きるか
4. 揚げ物は「揚げる前」か「揚げた後」かで割れる
5. 凍ったままお弁当に入れてよいもの
6. 汁物は容器と入れる量で決まる
7. 早見表

1. うまくいかない原因は、料理ではなく具材の側にある

冷凍に向かないものは、いくつかの型に分けて説明できます。水分が多く、生の歯ざわりが持ち味のもの。乳化しているもの。でんぷんが多く粒のまま残るもの。ゆで卵の白身・こんにゃく・豆腐。殻つきの卵。料理の側の指示も、この分類とおおむね一致していました。筑前煮では「こんにゃくは食感が変わるので取り除く」、豚汁では「豆腐は冷凍で食感が変わりやすいので、油揚げで代用を」と書かれています。

意外なのは、乳製品が「外す対象」になっていないことです。シチューはむしろ逆で、乳製品を使っているぶん冷蔵が2日と短く、食べ切れないなら冷凍のほうが長くもつ側に置かれています。ケーキも同じで、冷凍に向かないとされるのは生クリームではなく生のフルーツのほう。解凍時にフルーツから水分が出て食感が変わるためです。「作りおきは冷蔵より冷凍のほうが長い」という当たり前は、シチューの冷蔵2日に対して冷凍1か月、ポテトサラダの冷蔵1〜2日に対して冷凍2〜3週間、といった落差ではっきり出ます。

2. じゃがいもの扱いは5通りに分かれる

「じゃがいもは冷凍に向かない」で話が終わらないところが、この分野の面白いところです。同じじゃがいもでも、料理によって処方が分かれていました。

どの料理で具体的な指示
取り除くハヤシライス/豚汁冷凍に不向きなじゃがいもがあれば取り除く。牛肉・玉ねぎ・マッシュルームは食感が変わらない
潰すシチュー/スープ/ポテトサラダ(シチュー)熱いうちに取り出し、フォークの背でかたまりがなくなるまで潰して戻す/(スープ・ポテトサラダ)かたまりがなくなるまで潰す
取り除く、または潰すカレーじゃがいもだけが冷凍でスカスカになる。ほかの具とルウは冷凍に強い
生のまま小さく切る肉じゃが約4cmより小さめの乱切りにして生のまま凍らせ、凍ったまま加熱調理する
そもそも入れない天ぷら/ピザ水分の多い具材は避ける(じゃがいもも避けたほうがよい)/生野菜・果物・じゃがいも・ゆで卵は取り除く

並べて見ると、避けられているのはいったん煮て煮汁を吸ったじゃがいものほうで、生のまま小さく切って凍らせ、凍ったまま煮る肉じゃがだけが、じゃがいもを潰さず形のまま残す設計になっています。ポテトサラダはこの考え方を三か条にしていました。①じゃがいもは潰す ②水分の少ない具材を使い、加熱は必須 ③酢で下味を付ける(じゃがいも1個につき小さじ1/2)。マヨネーズは多めにすると油分でしっとり仕上がる、という補足も付きます。筑前煮のたけのこも同じ発想で、砂糖を多めに入れて煮ておけば保水されて食感が変わりにくい、と書かれていました。

3. 熱いうちに包むと、何が起きるか

「熱いまま包まない」は6品目で明示されていますが、破ったときの失敗のしかたが料理ごとに違います。唐揚げは蒸気がこもってべちゃっとなる。エビフライは衣のサクッと感がなくなる。春巻きは具から出た水分が皮の中にたまり、揚げたときの油ハネの原因になる。天ぷらは急激な温度差で結露する。ミートソースは袋に水滴がたまって水っぽくなる。ピーマンの肉詰めは水蒸気でピーマンが蒸れてベタつく。原因はどれも同じ「こもった水」で、出方だけが違うわけです。

冷まし方そのものも三段階に書き分けられていました。ふつうは粗熱をとるだけ。氷水や保冷剤に当てるところまで手順の文中で指定されるのは、汁気のある鍋料理で、ハヤシライス、シチュー、ミートソース、筑前煮、スープの5品です(豚汁は文言としては「粗熱をとる」だけですが、工程の分類は同じ保冷剤扱いになっています)。ステンレスやアルミの鍋なら鍋底を保冷剤か氷水に当て、ホーロー鍋ならボウルやバットに移してから、という補足まで付きます。三段目にあたるのが春巻きで、こちらは具材を一度冷蔵庫で完全に冷ましてから包むとされていました。揚げ物にはもう一つ、油を抜く工程が入ります。天ぷらはペーパータオルで包んで余分な油を吸わせますが、これは冷めた油は取りにくいので熱いうちに、とされていました。

急いで冷ますのは食感のためだけではありません。鍋のまま常温に放置しないのは食中毒が発生しやすいからで、カレーには「常温で一晩置いたカレーは冷凍しない」とはっきり書かれています。加熱しても消えない菌が増えることがあるためです。

4. 揚げ物は「揚げる前」か「揚げた後」かで割れる

唐揚げ・エビフライ・天ぷらは揚げてから凍らせますが、春巻きだけは揚げる前の状態で凍らせ、凍ったまま低温の油で揚げるのが基本でした。解凍すると水分が出て皮がふにゃふにゃになるためで、160℃ぐらいの低めの温度で4分ほど、裏返して強火にしてさらに1分ほど。具は片栗粉を多めに使ってかために仕上げておきます。霜が付いていると油ハネの原因になるので、取り除いてから揚げます。

解凍法も一枚岩ではありません。34品目のうち電子レンジが「避ける」とされるのは天ぷら1品だけで、衣がべちゃっとなるため冷蔵庫で約30分(かき揚げ1個)戻してからトースター200℃で約2分、という道筋になっています。同じ揚げ物でも唐揚げとエビフライはレンジが最良で、唐揚げは600Wで40秒(3個)、上下を返してさらに30秒。エビフライは2本(約60g)につき500Wで30秒ですが、ラップで包んだまま加熱すると衣が蒸気でべちゃっとなるので必ず外すとあります。ここでも敵は「こもった水」です。

期間も揚げ物のなかで唐揚げだけ短く2週間、ほかの3品は1か月でした。唐揚げの包み方には「空気に触れさせないことで、肉と油の酸化を防ぐ」という理由が添えられています。

5. 凍ったままお弁当に入れてよいもの

常温に置いて解凍する方法は、34品目中25品目で「避ける」とされていました。そのうえで、凍ったまま弁当箱に詰めて自然解凍でよいと書かれているものがあります。自然解凍が「おすすめ」として指定されるのは、きんぴらごぼうと切り干し大根の煮物の2品。ハンバーグ(焼き済みの場合)と肉団子も、おすすめとまでは書かれていないものの「凍ったままでもよい」とされています。お弁当のコラムが挙げる条件は「しっかり加熱してあり、汁気が少なく、再加熱しなくても味が落ちないもの」で、例として並ぶのはきんぴら、切り干し大根、下ゆでしたブロッコリーの3つ。ブロッコリーと枝豆の項にも、下ゆで済みなら凍ったまま弁当に入れて自然解凍でよいと書かれています。きんぴらの作り方には汁気がなくなるまで炒める工程が入っていて、汁気を飛ばしておくと冷凍しても水っぽくならずそのまま弁当に入れられる、と理由まで書かれています。

肉や魚のおかずは、朝いちど電子レンジで熱くなるまで温め、しっかり冷ましてから詰めます。温かいまま詰めるとふたの内側が結露して傷みのもとになります。夏場は保冷剤を添える。凍ったおかず自体が保冷剤の代わりにはなりますが、それだけに頼らない、というのが基本線でした。ポテトサラダは冷たい状態で食べたい場合でも、常温や冷蔵庫での解凍はせず、必ずレンジで加熱解凍してから冷蔵庫で冷やします。容器の指定もあり、アルミカップは電子レンジ加熱に使えないのでシリコンのカップを使います。小分けの量はきんぴらがカップ25g、ポテトサラダが約20gでした。

6. 汁物は容器と入れる量で決まる

スープや汁物は冷凍すると膨張します。だから容器いっぱいに入れてはいけません。8分目までが目安で、ここを守らないと凍ったときにふたが押し上げられて汁がもれます。この数字はコラム側にも豚汁やスープの手順側にも同じように書かれていました。容器は、1食分がちょうど入る480mlの薄型なら冷凍庫でかさばらず重ねてストックでき、厚みがないぶん解凍時間も短くて済みます。473mlのスクリュータイプはふたがきっちり閉まるので汁もれしにくい。トマトベースやカレー風味など色移り・ニオイ移りが気になるものは、容器にラップを敷いてから入れます。ミートソース・ハヤシライス・ビーフシチューでは、これをやるかどうかで容器の寿命が変わるとされていました。

膨張の問題は瓶でも起きます。ジャムを瓶のまま冷凍すると中身が膨張して割れる恐れがあるため、必ず移し替えます。温める側にも上限があり、電子レンジの加熱時間が長すぎるとラップが溶ける恐れがあるので、表示の加熱時間は守って足りなければ1分ずつ足す。筑前煮を袋のまま温める場合も、口を開けて500Wで約1分の半解凍にとどめ、袋のまま完全解凍まで加熱するのは袋の耐熱温度を超える場合があるため避けます。例外もあって、生チョコだけは急速冷凍が禁じられ、まず冷蔵庫で十分に冷やしてから冷凍庫へ移します。急激な温度変化で表面が白くなるためです。

7. 早見表

期間はどの下ごしらえをしたかで変わります。同じ料理でもルートが違えば別の行として読んでください。

料理(ルート)下ごしらえの要点目安温め方・解凍
唐揚げ揚げて網で冷まし、2〜3個ずつラップ→袋の空気を抜く2週間600Wで40秒(3個)→上下を返して30秒。レンジ半解凍+トースターが最良
春巻き揚げる前の状態で。具は片栗粉多め、冷蔵庫で完全に冷ましてから巻く1か月凍ったまま160℃で4分→裏返して強火1分(冷蔵・常温は不可)
エビフライしっかり冷まして1本ずつラップ1か月500Wで2本(約60g)30秒。ラップは外す→仕上げにトースター
天ぷら熱いうちにペーパーで油を吸い、粗熱をとって1食分ずつ1か月冷蔵庫で約30分(かき揚げ1個)→トースター200℃で約2分。レンジは不可
カレーじゃがいもを取り除く(または潰す)→冷まして1食分ずつ1か月600Wで4〜5分、途中で混ぜる/凍ったまま鍋で温める
シチュー熱いうちにじゃがいもを潰して戻す→氷水で急冷1か月ふたをずらして500Wで300gに5分→混ぜて3分
ハヤシライスじゃがいもだけ取り除き、容器にラップを敷いて1食分ずつ1か月ふたをずらして500Wで250gに3分→混ぜて3分
肉じゃが(生のまま)約4cmより小さめの乱切り。順に袋へ入れ調味料を注いで平らに2週間凍ったまま鍋へ、水100mlと落としぶたで8〜10分
筑前煮こんにゃくを取り除き、煮汁ごと。底を氷水に当てて急冷1か月500Wで500gに5分→混ぜて5分。袋のままの完全解凍は避ける
きんぴらごぼう汁気がなくなるまで炒めて冷まし、約80gずつ(弁当は25g)3〜4週間凍ったまま弁当に詰めて自然解凍可/500Wで80gに1分
切り干し大根の煮物シリコンカップに小分け(アルミカップは不可)1か月弁当は自然解凍可/カップ1個500Wで約50秒
ポテトサラダ潰す・酢で下味・水分の少ない具材。約90gずつ2〜3週間500Wで90gに1分30秒。冷たく食べる場合も加熱してから冷やす
豚汁(具材ミックス)野菜と豚肉を別々に。豆腐は油揚げで代用3週間凍ったまま炒めて煮る。火が通るのが早いので煮る時間は短めに
豚汁(調理済み)豆腐・こんにゃく・じゃがいもを除き、粗熱をとって容器の8分目まで1か月ふたをずらして500Wで350gに5分30秒
スープ鍋底を氷水に当てて急冷、じゃがいもは潰す。8分目まで1か月ふたをずらして500Wで360gに6分30秒
ミートソース氷水で冷まし、1人分180gずつ袋で薄く平らに1か月袋は200Wで360gに2分の半解凍/容器は500Wで180gに2分+2分
ハンバーグ(焼き済み)焼いて冷まし、1個ずつラップ3〜4週間600Wで2分ほど/お弁当なら凍ったまま詰めて自然解凍でもよい
肉団子粗熱をとり、ケチャップと一緒に袋へ入れてなじませる1か月凍ったままスープや炒め物へ3分ほど/500Wで1個約50秒。お弁当は凍ったままでもよい
ロールキャベツ(煮込む前)煮込む前の状態で1つずつラップ3週間スープを用意し凍ったまま入れて中火→煮立ったら弱火15分
ロールキャベツ(煮込んでから)粗熱をとり、つかるぐらいまでスープを注ぐ1か月600Wで2個(約260g+スープ200ml)に10分
グラタン耐熱皿にラップを十字に敷き、焼く前の状態で皿ごと1か月500Wで500gに12分→トースター200℃で7分
お好み焼き焼いて冷まし約1/4に切ってラップ。ソースはかけない1か月500Wで1枚(約300g)6分→ラップを外してトースター3分
餃子(生)包んだらすぐ打ち粉をしたトレーで1時間バラ凍結3〜4週間凍ったまま蒸し焼き/凍ったまま熱湯へ(冷蔵・常温は不可)
ピーマンの肉詰め焼いて粗熱をとってから1個ずつぴったりラップ1か月600Wで1個1分20秒/2個2分30秒/3個3分。一度に3個まで
ピザ常温で冷まし、向かない具を外して1切れずつラップ1か月霧吹きしてトースター200℃で6分/フライパン弱火16分
ジャム瓶から移し替え、1回分ずつ小分け6か月(糖度40%以上の場合)カチカチにならないのですぐ塗れる。再冷凍は不可
生チョコまず冷蔵庫で十分に冷やしてから2〜3個ずつラップ1か月冷蔵庫で30分/凍ったままでもアイスのような食感

表の期間は、おいしく食べられる品質の目安です。これを過ぎたら食べられなくなる期限ではありません。−18℃に保たれていれば傷みはほぼ止まりますが、乾燥や酸化は少しずつ進むため、空気に触れさせない包み方と、書いておいた日付のほうが実務では効きます。